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『イキガミ』第9巻、人間ドラマから国繁制度の是非へ

  1. 2011/08/07(日) 10:51:32|
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間瀬元朗が『ビッグコミックスピリッツ』で連載中の漫画『イキガミ』第9巻が6月30日に発売された。『イキガミ』は国民に生命の価値を再認識させるために「国家繁栄維持法」(国繁)という法制度のある架空の現代日本「この国」が舞台である。全国民の1000分の1に逝紙(イキガミ)という死亡予告証が届けられ、逝紙が届けられてから24時間後に確実に死ぬ(国繁死)という恐ろしい制度である。松田翔太主演で2008年に映画化された。
『イキガミ』の主人公は逝紙を配達する藤本賢吾である。藤本が逝紙を配達することで、受け取った相手は自分が24時間後に死亡するという辛い現実を突然知ることになる。その現実に直面した本人や家族の葛藤が物語の中心である。逝紙配達後24時間で死亡するという設定は絶対的で、制度を曲げて人情味のある結末にはならない。暗い絶望的な結末が多いが、その圧倒的な絶望感に引き込まれる読者も多い。
24時間後に死亡するという絶望的な状況に置かれた若者の様々な行動をオムニバス的に描いてきた『イキガミ』であったが、この巻ではドラマが動き出した。そもそも国繁制度は1000分の1の確率で国民を殺す理不尽な制度である。人口の1000分の1と言えば膨大な数であり、それだけの国民を殺したならば虐殺として非難されるものである。それでも国繁制度が成り立っている理由は、逝紙が純粋にランダムに配達されるためである。
国繁死者の一人一人は分断されており、これまでは逝紙が配達された個人や家族のドラマにとどまる傾向があった。ほとんどの国民は自分や家族が国繁死の対象になるまで、国繁制度に対して思考停止している。この点は、まとまった被害者がいると社会問題になるが、どれほど理不尽な状況に置かれていても個々人の問題ならば取り上げられない日本社会の現実に重なる。
ところが、この巻では国繁死の対象になった女性が小学校に入学する児童と父母の前で、児童の一人を人質にとって国繁制度の非合理を訴えた。それによって父母達は国繁制度を自分達の問題として考える動きを見せた。
また、この国の欺瞞も明らかになる。この国では軍隊を持たず、同盟軍が防衛を担う仕組み(安全負担条約、安負条約)になっている。この安負条約によって国民が戦争から解放されたことが、生命の価値を再認識させる国繁制度の導入理由になっていた。
この巻では領土紛争を抱える連邦との緊張が高まり、ミサイルが撃ち込まれる。本来ならば安負条約に基づいて同盟軍が応戦するが、同盟軍は中東派兵で手一杯で心もとない状況である。そこで国繁警察が極秘で拘束中の退廃思想者(国繁制度に反対する思想を持つ者)を徴兵し、支援部隊に動員しているという噂を藤本は耳にする。国繁制度の根幹と矛盾する動きに藤本は激しく動揺する。
死までの残された時間をどう生きるかという個人レベルのドラマから、国民に理不尽な死を強いる国繁制度の是非、さらには国家権力への抵抗運動へと物語の方向性の転換点となった巻であった。(林田力)
http://www.hayariki.net/pj5.html


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