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『「ガード下」の誕生』『高架下建築』

  1. 2012/05/18(金) 21:34:03|
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小林一郎『「ガード下」の誕生――鉄道と都市の近代史』(祥伝社新書、2012年)は鉄道ガード下(高架下)の歴史と現在は解説する新書である。高架下には、居酒屋のような店舗から、住宅、保育園からホテル、墓地まで存在する。高架下には素敵な世界が広がっている。『「ガード下」の誕生』は全国の様々な高架下を探訪し、その発展の歴史を探る。

大山顕『高架下建築』(洋泉社、2009年)は高架下建築の写真集である。有楽町・新橋、アメ横、浅草橋、秋葉原、神田、千住・三河島、向島、大井町などを撮影した。高架下マップや鑑賞ポイントの解説もある。

著者は『工場萌え』(東京書籍)で知られる。工場という「萌え」とは対極のイメージがある建物に美を見出した。工場以外にも『団地の見究』(東京書籍)、『ジャンクション』(メディアファクトリー)など、マニアックな土木・建築分野を被写体として取り上げている。

『工場萌え』で取り上げられた工場には機能美やワイルドさがあった。これに対して『高架下建築』には雑然としたカオスが魅力である。生活や営業のコミュニティである高架下は、効率的な生産の場である工場とは別種の魅力がある。
http://yaplog.jp/hayariki/archive/635

鉄道高架下の建物は鉄道高架橋とは独立した構造を持ち、土地に定着し、周壁を有し、永続して建物の用に供することができる。所有権や賃貸借の対象になり、不動産登記も可能である。高架下の建物は高架下に暮らす人々の生活や営業の基盤であり、コミュニティがある。

高架下には近現代の歴史が詰まっている。『「ガード下」の誕生』では高架下を「大都会の歴史と発展の生き証人」とまで位置づける。ある修士論文でも望ましい高架下空間の利用法の一つが「記憶を残す装置」であると指摘された(平山隆太郎「鉄道高架下空間に対する住民の意識に関する研究」早稲田大学大学院理工学研究科建設工学専攻景観・デザイン研究室2007年度修士論文、2008年2月8日)。
http://hayariki.net/1/25.htm
鉄道は公共性の高い事業である一方で、沿線住民にとっては線路が街を分断し、騒音・振動の被害もあるという迷惑施設の側面もある。その鉄道のマイナス面も補い、共存共栄する形で発展してきたものが高架下である。しかし、残念なことに鉄道会社の側から高架下のコミュニティを破壊する動きがある。

特に東急電鉄の立ち退き要求が問題になっている。東急は秘密主義や住民への不誠実な対応で住民反対運動が続出するという問題を抱えている(「「ブランド私鉄」東急沿線で住民反対運動が噴出するワケ」週刊東洋経済2008年6月14日号)。東急不動産だまし売り裁判と同根の問題である。

東京都目黒区の中目黒の高架下では中目黒駅改良工事、東京都品川区の東急大井町線高架下では耐震補強を名目に立ち退きを迫り、十分な生活保障もなしに長年生活していた住民や商店を追い出そうとする。工事中の仮住宅・仮店舗の手配も工事後の住民の帰還も保証しない(林田力「東急電鉄が大井町線高架下住民に立ち退きを迫る」)。それ故に『「ガード下」の誕生』『高架下建築』のような高架下の価値や魅力を伝える書籍の出版を歓迎する。


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