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『新世紀エヴァンゲリオン (12)』

  1. 2012/12/15(土) 20:00:15|
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貞本義行『新世紀エヴァンゲリオン』は人気アニメのコミックスである。文字通りアニメをコミックス化した感じで、アニメを観るようにスピーディーに読み進められる。同じアニメ先行のコミックスでも活字で読ませる感のある、安彦良和『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』とは対照的である。

『新世紀エヴァンゲリオン (12)』はネルフが戦略自衛隊に攻撃される。葛木ミサトの壮絶な最後と碇シンジの不甲斐なさが見所である。シンジの内向的性格が強調されるシーンであるが、過去に観た時ほどのインパクトはなかった。シンジの言動は目の前の問題の解決にはならないものであるが、シンジでなくても同じ状況に置かれたならばシンジのような言動をしても、それほど異常とは思えなかった。
http://www.hayariki.net/6/60.htm
『新世紀エヴァンゲリオン』は主人公シンジの普通の少年とは違う内向的な性格が大きな特徴とされているが、あまり特別に感じなくなっている。シンジの言動に違和感がなくなってきたことは、日本社会が焼け野原から経済大国にしてしまうような前に進むだけのガンバリズムでなくなってきた好ましい傾向の現れである(林田力「『家政婦のミタ』『専業 主婦探偵』ガンバリズム否定の労働者像」リアルライブ2011年12月27日)。

『新世紀エヴァンゲリオン (13)』では人類補完計画が発動される。碇ゲンドウは個人的な動機で人類補完計画を進め、理知的な赤木リツコも感情的に振る舞う。いくら偉ぶっていても人を突き動かすものはエゴである。

現在の人間関係の醜さと対照的に回想シーンは美しい。むしろ美しい過去が強烈であるからこそ、と言うべきか。しかし、それほど大切な人を失ってしまう実験とは何であるのか。科学の業を感じてしまう。

同じく人気アニメをコミックスとして再構成した『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』でも回想シーンは充実していた。回想シーンを充実させることで、登場人物の奥行きが増し、作品世界が豊かになる。(林田力)


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