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『感謝祭は邪魔だらけ』林田力wiki書評

  1. 2012/12/25(火) 21:29:22|
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クリスタ・デイヴィス『感謝祭は邪魔だらけ』は家事アドバイザーを主人公としたミステリー小説である。「家事アドバイザーの事件簿」シリーズの第一作である。日本でも家政婦やタクシー運転手など推理と縁のなさそうな職業を主人公としたミステリーは多い。『感謝祭は邪魔だらけ』は主人公が第三者的な探偵役ではなく、いきなり濃厚な容疑者候補になる点が特徴である。

『邪魔だらけ』のタイトルにふさわしく様々な登場人物が主人公の前に現れ、人間関係はカオス状態になる。「いま自分たちが複雑な殺人事件に巻きこまれていることが信じられなくなる」(238頁)くらい日常的な雰囲気の中で物語は進むが、複数の人物が疑わしく、犯人探しを楽しめる。各章の最初には主人公ソフィとライバル役のナターシャによる家事に関する質問への回答が掲載されており、現代アメリカ中産階級の家事の悩みを理解できる。その家事の知識が真犯人の割り出しにも役に立つ。

『感謝祭は邪魔だらけ』は現代アメリカを舞台とする。古さと新しさが良い感じで混在する。古さは町並みである。主人公の住む街は昔ながらの景観を保った住宅街である。「歴史ある家々とレンガの歩道」と形容される(16頁)。「赤レンガの古い家並と歩道からは現代にない優雅さが漂っている」との表現もある(237頁)。
http://www.hayariki.net/4/36.htm
特に主人公の家は年季が入っており、すきま風が吹くものの、主人公は「老朽化した家が大好き」と語る(16頁)。ここには見慣れた街並みを破壊し、超高層ビルを乱立させるスクラップアンドビルドの町壊しはない。

新しさは女性の社会進出である。古き良きアメリカ的なオールドタウンが舞台であるが、主人公は離婚歴のある働く女性である。脇役には妻の稼ぎで食べている夫も登場する。女性は家庭で良妻賢母になれという保守的な家庭観とは無縁である。

この古さと新しさの取り合わせは絶妙である。往々にして日本社会は古いものと新しいもののカスの部分を追求しがちである。新しさを求める向きは昔ながらの街並みを壊す再開発を歓迎する。古いものの良さを指摘する向きは封建的価値観を押し付ける。それと正反対の『感謝祭は邪魔だらけ』は健全である。(林田力)


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