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ビジョルド『影の王国』

  1. 2013/01/06(日) 19:11:04|
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ロイス・マクマスター・ビジョルド著、鍛治靖子訳『影の王国』(創元推理文庫、2012年)は中世風のウィールド王国を舞台とした異世界ファンタジー小説である。五神教シリーズの一冊であるが、他の作品とはキャラクターや場所を共有していない。このため、本書から読み始めることも問題ない。

五神教とは五つの神を信仰する宗教である。森林地帯のウィールドは聖王によって治められる自然信仰であったが、4百年前にダルサカのアウダル大王に征服され、五神教信仰が強制された。その後、ダルサカの内紛でウィールドは独立を果たし、聖王の支配は復活するが、五神教は根を下ろし、伝統信仰は排斥されている。

主人公は父によって狼の精霊を宿すようになった剣士イングレイ・キン・ウルフクリフである。これは古代ウィールドの戦士にかけられた魔法であるが、現代では排斥されるものである。このためにイングレイは放浪を余儀なくされたが、国璽尚書ヘトワル卿に拾われた。

物語は聖王の第三王子ボレソ殺害の報で始まる。手籠めにしようとした侍女に殺されたという。ヘトワル卿の命令で遺体を東都と呼ばれる首都に運ぶために派遣されたイングレイは、王子を殺害した美しい娘イジャダ・ディ・カストスに驚愕する。イジャダも、その身の内に豹の精霊を宿らせていた。
http://www.hayariki.net/4/38.htm
上位の者にも神すらも反論するイングレイが小気味良い。王子であってもボレソのように軽蔑すべき行動をした者には、それに相応しい評価を下す。イングレイは黙って命令に盲従するロボットではない。日本ではブラック企業が社会問題になっている。ブラック企業の従業員は犠牲者であり、被害者であるが、ブラック企業に潰されないためにはイングレイのような反骨精神が必要である。

ウィールドで五神教が浸透し、伝統的な森の魔術が排斥され、排斥されながらも部分的に残存する状況は、ゲルマン民族などのキリスト教化を連想する。また、神を至高の存在としながらも、その神ですら人間の自由意思を変えることはできず、自由意思を尊重する存在として描かれる。これは人間が悪を犯すことを神が止めないことについてのキリスト教神学の説明と重なる。架空の世界の物語であるが、キリスト教世界を土台にしている。(林田力)


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