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『静かなるドン 108』林田力ブログ書評

  1. 2013/07/15(月) 11:18:04|
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『静かなるドン 108』は最終巻である。連載長期化によって物語が別の方向に進む作品も少なくない中で、近藤静也と秋野明美の物語というブレのない最終回であった。

『静かなるドン』はストーリー物としては稀有な大作である。1989年に週刊漫画サンデーで連載開始され、単行本の累計発行部数が4000万部を突破する長寿作品である。長寿作品としては『こちら葛飾区亀有公園前派出所』や『ゴルゴ13』が先輩になるが、これらはオムニバス形式である。

『静かなるドン』はストーリー物であることが特徴である。『静かなるドン』はギャグ漫画の色彩が強いものの、ひとつながりのストーリー物である。主人公・近藤静也と秋野明美のロマンスと、静也の率いる新鮮組と関西の暴力団・鬼州組の抗争がストーリーの軸になっている。

最終章は世界皇帝という巨大権力との戦いがテーマであった。世界皇帝の支配の構造が温存された結末には不満もあるだろう。しかし、世界皇帝との対決は白藤龍馬の目的であり、近藤静也のものではない。静也は一貫して暴力団の平和的な解体を望んでいた。初心を貫く最終回は見事である。

シチリア・マフィアとの戦いに何の意味があったか疑問であるが、静也のヤクザ解体の抵抗勢力となりうる新鮮組幹部を退場させるというストーリー展開上の意味はあった。
http://www.hayariki.net/5/71.htm
ヤクザ解体という静也の目標に向かった結末であるが、世間から見るとヤクザの大組織同士が同盟し、ヤクザの立場が強くなっている点が逆説的で面白い。現実世界では暴力団排除が進行しているが、その結果として関東連合などの暴走族上がりの半グレが跳梁するという悪質な結果になっている。元暴走族は六本木フラワー集団撲殺事件など暴力団以上に反社会的である。また、暴力団排除を名目に天下りなど警察利権になるという問題もある。その意味で『静かなるドン』のヤクザ解体の方向性は現実社会への皮肉になる。
The crime of TOKYU Land Corporation eBook: Hayashida Riki: Amazon.in: Kindle Store
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